2018年 02月 03日 ( 1 )

関心の距離を延伸する 4

越境移動すること、そのこと自体が問題を引き起こすわけではありません。豊かな日本の食卓があるのも海外で生産された食材が日々輸入されているからこそです。国内の食料消費が国産でどの程度賄えているかを示す指標「食料自給率(カロリーベース」)は38%(平成28年度/農水省発表)と半分以上は海外でつくられている食材を輸入しているのが日本の現状です。廃棄物と食を並べて論じるな!!とお叱りの声も聞こえてきそうですが、いまや物流は地球規模で動いている訳で、越境移動そのものは現在の暮らしを支えるには、もはや不可欠です。

さて、新たに法第17条の2が規定されましたが、まず不適切な保管や取り扱いによる日本国内の環境汚染の防止と改善、災害発生をなくすこと。そして特にアジア方面に輸出される雑品スクラップの選別作業や廃棄処理を担当する現地の方の健康被害をなくすこと。法が求める目的の他に、私はこの2点が雑品スクラップの取扱いを規制する大切な視点だと考えています。

廃棄物だって選別して再生資源物として生まれかわれば立派な原材料です。そもそも、リサイクルというのは不用となった物を素材ごとに選別して再生原料にする為に行う作業のことを指しています。廃棄物処理や再生資源事業者は正式な手続きをして有価物として有効利用できるように努め、有限な地球資源をなんども繰り返し使えるように取り組んでいます。しかし、残念ながら廃掃法やバーゼル条約を逃れるために、雑品スクラップをすべて有価物と主張し、環境対策を行なわずに破砕や破壊をすることで大気中や土壌への環境汚染を引き起こしてしまう事業所もあります。そうした事業所に対する指導、改善を行い、輸出先の国にも迷惑をかけないようにしましょうというのが今回の雑品スクラップの規制の意義だと思うのです。

現在76億人の人口は2050年には98億人に到達すると国連は予測しています。冒頭にもあるように日本の豊かな食は海外からの輸入に頼らざるを得ません。食料生産地と再生資源物として有効利用できる工場は異なる国であっても、食材生産国の人口が増えれば食材の輸出抑制もするでしょうし、異常気象が生産国を襲えば輸入食材の値段も上がり、欲しいものが入手しづらくなることも考えられます。

灯台下暗しにならないようにすることが、まず第一。同時に、関心の範囲を拡げてくことで身近な当たり前のことが、じつは急ぎの改善を迫られていることに気づくかもしれません。人は気づいた範囲で最善を尽くしている、という言葉があるように「気づき」があれば様々な社会問題を解決することができるはずです。法律は時代と共に更新されていきます。私たちの日々の何気ない行動が、世界の人々にどんな影響を与えているのか・・・法律が更新されるときなどは、そうしたことを今一度確認でき、関心の距離を延伸するにはとても良い機会です。会ったこともない人々だけど、輸出先の国のことを考えて行動していれば相手もきっと感謝してくれるはず。そう思って日々を過ごしたいものです。なにこども「お互い様です」。

関心の距離を延伸するは、これでおしまい。

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by AKIO_TAKE | 2018-02-03 15:31 | 環境