2023年 01月 27日
自分を大事にするとは、どういうことか。
小説家 天童 荒太さんが高校生に向けて、この先どんな世の中になっても、良い出会いや運に恵まれるように22の質問にメッセージを添え応えていく一冊。そのメッセ―ジは大人にとっても貴重なものです。
なかでもAIに関するメッセージが印象に残ります。筆者は「AIが労働の末端ではなく、社会の中枢、ことに政治や企業の意思決定の現場にこそ、どんどん入っていくべき」と書いています。
なぜなら、戦争、核開発、差別的な政策、暴力による弾圧、環境汚染、気候変動の問題などは、政治家(ときに軍人)という人間の、データや科学的エビデンスを考慮しない、自分や取り巻き、経済界の欲望利益の優先・・怒り、嫉妬、恐怖などの感情のままの判断。このような人間による判断が本来避けられた悲劇を繰り返しているのではないか、というメッセージはとても考えさせられました。
一般事務や組立工などAI・ロボットの発展によって50%の仕事がなくなると言われていますが、ミスすることが多い人間に、本来任せるべきではない、大勢の人の命に係わる判断こそ、AIに任せることができれば、人間の短絡的な感情や欲望、取り巻きたちのお金や地位への執着などが入り込む余地はなくなっていく。
本のタイトルは「君たちが生き延びるために」。命を大切に、慈愛に満ちたメッセージが溢れています。
出版社 : 筑摩書房
発売日 : 2022/12/8
新書 : 224ページ
ISBN-10 : 4480684433
ISBN-13 : 978-4480684431
by AKIO_TAKE
| 2023-01-27 10:36
| book