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法律の先に理想の状況をつくりだすために

環境情報誌を制作する方から「産業廃棄物(以下、産廃)」の特集を組むにあたって、いろいろな事業者にインタビューする前の予備知識としてちょっとお話しさせてもらえないかとの打診をうけました。私自身、廃棄物業界から離れて数年経ちますから、リアル感たっぷりのお話はできませんがとお断りしたうえで、2時間ほどディスカッションさせてもらいました。

昔の現場話やいまだから話せるチョイネタ、そして、客観的に産廃をとらえられる現在の立場から思う、産廃の将来像など、なかなかおもしろい時間を過ごすことができました。

産廃、という言葉自体が世に知り亘り始めたのは、昭和45年に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下 廃掃法)」が成立してから。それまでは、国会や研究機関では使われていたようですがひろく一般になじみ深くなっていくのは廃掃法制定のあとです。インタビュー最初の質問は「不法投棄」・・・やはり、産廃というと未だ「不法投棄」というイメージが付きまとっているのでしょうね。なぜ不法投棄が発生するのか、かなり減少したとはいえ、なぜ後を絶たないのかなど、社会的な背景も織り交ぜながらお応えしました。

かつてはこうだった、という話も面白いのですが、過去は二度と戻ってきませんし、また、過去に浸らないようにするために、まだ見ぬ将来を話してみるという方がワクワクしますから、その中のひとつとして産廃業界に留まらず再生資源業界など、廃棄物・リサイクル業界ごとに存在する協同組合や協議会などの団体事務局に法律を学んだ若い人材を登用すべきという思いも伝えてみました。

廃掃法が成立するきっかけは大量生産・大量消費・大量廃棄による環境のただならぬ悪化。昭和45年の公害国会において国民生活の生命にかかわる劣悪な環境を改善するためでした。元々、技術立国である日本ですから廃掃法制定後は環境の改善も進み、21世紀になると、廃掃法だけでは対処できない事例やごみ処理という狭い見方から、自然保環境の保全まで組み込んで大局的な見地からの理念法をつくり、その理念を実現するために個別プログラムを策定し、実施され現在に至っています。

産廃だけではないかもしれませんが、僕の法律観は「法律はいつもあとからやってくる」というもの。鶏が先か卵が先かじゃありませんが、法律をつくったはいいものの、現行法では対処できない事象が次々と発生し、その事象を抑えるために法律を改正したり、条令を書き直したりする。社会はつねに生産活動を行っているわけで、日々新しい事象が産まれつづける。軽微ながら、毎年のように法律の改正が行われていますが、新たな問題が顕在化するスピードの方が圧倒的に早く、つねに法律は後手に回りがち・・しかも対処療法的な処置を施す場合が多いから矛盾も生じる。そんな状況を指して、あとからやってくるものと言っています。法律には大変恐縮ですが。

これからは少子高齢化の社会ですから、ごみとして排出される量も減る、ごみの量が減るということは生産量も減少傾向に転じる可能性がある。そうなると既存の業者数はいらない訳で、縮小するパイの奪い合いがはじまります。法律(行政)は民間企業の努力があってこそという甘言をつぶやきながら、その状況を眺め、次なる法整備の準備にとりかかります。

業者を管理しやすいから、コントロールしたいという動悸が、もし働ければ、法律を厳しくすれば済むことです。

5年後、10年後に既存の業者がどれくらい生き残っていられるか・・・もし、既存業者、とくに小規模事業者ではとても対応できない経理基盤や要求事項が制定されれば、おのずと大企業に吸収されるか、廃業を選択するかの厳しい局面を突きつけられる可能性が無いわけではありません。

法律の勉強会や研修会が開催されれば多数の人が出席をします。でも、言い換えればそれはイベントに参加するようなもの。年に一度か二度のことです。しかも、どこまで真剣に聞いているのやらというのが実情ではないでしょうか。そんな日常を過ごしていながら、いざ、事業継続に厳しい法律が制定されてしまえば、ますます中小企業は窮地に追い込まれます。中小企業の個々では取り組みができないであろう法律への備えを、なぜ゛、同業者が集まる団体事務局で行わないのか・・・団体事務局に法律専業従事者は要らないと言われ続けていますが、もう少し提案し続けてみようと思っています。といっても、あと1年くらいが限界でしょうか・・。

繰り返しになりますが、廃棄物処理やリサイクルそのものは中小企業であれ、各社ノウハウを持ち、十分対応できます。しかし、法律専業従事者を雇用するだけの企業体力はありません。故に、同業者が集まる団体事務局で雇用して中小企業を支援すべきだと思います。他の団体や行政との交渉でも普段からそうした備えをしておけば事務局の信頼度も向上するでしょうし、(いい意味で)脅威にすら感じさせられるかもしれません。

団体事務局に法律を学んだ若い人材を登用すべき、という思いだけでも結構な時間を要します。産廃、といいますか、ごみというのは社会の全方位と関わることができる分野です。人々が生活を営む以上、ついてまわるものですから。人々の生活の営み方はさまざまです。だから、廃棄物・リサイクル分野に従事しているからと言って、その分野しか勉強しないはとてももったいないことです。そこまで話を広げると際限なくなりうなのでこのあたりにしておきますが、かつては、法律の施行によって窮地に追い込まれた業種もあるわけですから、根拠のない大丈夫は捨てて、廃掃法をはじめ、環境事業に関する法律をつねにそばに置いておく方が賢明かと思っています。

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by AKIO_TAKE | 2014-12-06 18:47 | look/gaze