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こだわりと時代の流れ

昨年末の「ザ・トゥルー・コスト」以来となる映画は、能登半島を舞台に理想の一献を醸すための技術と思いを語り継ぐドキュメンタリー「一献の系譜」。

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酒造りをする冬の間は蔵にこもり、暮らしのすべてを捧げる杜氏と蔵人たち。いくつかの失敗、試練を乗り越え、名人と呼ばれるまでのプロセスもさることながら、杜氏の生き様に感情を揺さぶれる作品でした。半年に及ぶ蔵人との生活は、杜氏自身の家族のみならず、蔵人の家族まできっちり責任を引き受ける、その覚悟の顔は身が引き締まる思いです。企業経営も全く同じですが、ひとつの技法にこだわる故の覚悟の深さを浴びるだけでも、本作を鑑賞するに値すると思います。

他方、杜氏組合の研修で、これからの時代は杜氏に依存するだけではなく、企業社員がつくっても安定した酒質が醸し出せるように、そして蔵人が離職しない就業環境に努めるべきではないか、と杜氏の名人や先輩たちに社員杜氏が問いかけるシーンがあります。まさに「時代の流れ」をこれからどう捉え、どのように構築しなければならないのかを問うものです。スクリーンの中では真一文字の口のまま、次のシーンへと展開していきますが、どの業態においても「伝統と時代の流れ」という混迷課題が存在するものだなぁと思いました。

冒頭、雪に埋もれた棚田で豊作を祈願する美しさは、圧巻。
by AKIO_TAKE | 2016-03-02 22:42 | movie