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day after day & 武松昭男のphoto日記

「公」を考えてみる

先日、横浜中華街の店舗やチャイナタウン80(街の公式インフォメーションセンター)で働きながら、中華街の歴史や中国の食文化、イベントなど、中華街の魅力を訪れた方々に正しく伝える“横浜中華街コンシェルジュ”の交流会が開催され、参席をしてきました。街のコンシェルジュとして、横浜中華街を訪れ、楽しいひと時を過ごす人々をサポートする存在です。

街の仲間のお店でおいしい食事と、愉快な話題の中にも街への熱い思いが各テーブルにあふれ、有意義なひと時となりました。近年は自然災害に見舞われることの多い日本、東日本大震災直後の横浜中華街も人影が消えた寂しい光景になったこともありました。言い知れぬ不安の中で街のコンシェルジュとしてなにか貢献できないかと、当時を思い出しながら感極まる方もいて、もどかしい思いやコンシェルジュ同士だからこそ吐露できる胸の内など、心を触れ合わせ、さらけ出す熱量は横浜中華街のクオリティを高めてくれる大切なコミュニケーションタイムです。

私が中華街コンシェルジュの講座を受講したきっかけはいくつかありますが、ひとつ書き留めておきたいなぁと思います。

かつて、お土産の袋や食べ歩き用の包装資材などが隣町の元町商店街や山下公園のごみ箱に捨てられていたことがあります。ヒラヒラと舞っていたことも。
「ごみ箱に捨てられていればいいじゃん、ノープロブレム」・・そう、たしかにその通り。
「元町商店街に落ちていてもドサッと落ちているわけじゃない。気になったら拾えばいい」・・そう、確かにその通り。拾ったこともある。

別に問題ないじゃん、と言われれば返す言葉もないかな・・確かに。けれど、質の良いサービス、とか、おもてなし、とか、食や伝統を正しく伝えるのであれば、自分の街が出したごみを、他の街で見かけてもなにも感じないとしたら、それは「自分勝手なおもてなし」にしか過ぎないよな、とか、そんな風に思っていました。中華街に来た下さった、来てくれそうな人たちだけに向いたサービスやおもてなし、ではないかと。

売るだけ売って、あとは知らない。そんな風に詰め寄られ「横浜中華街は誰もそんなことは思っていない」と反論しても実際はそういう風景になっていた。
それ、ほっといていいのかー?と。
正直なところ、今でも自分自身に向けた、この問いに明快な回答を持ち合わせていません。そんな話をしたら「オマエ、馬鹿か!」と言われるので、表立って言うことは控えてきましたが、中華街コンシェルジュの活動の中では、そんな思いを伝えていました。そんな視点をもって「公」を考えられる街であることが一流の商業地になり得ると思うし、そのことによって横浜中華街を客観的にとらえることができるのだと思います。

あるコンシェルジュのお店では、飲み終わりそうなプラコップや中華まんじゅうの下に敷いてある紙(蒸し菓子用剥離紙)をまるめて持っているお客様に「捨てましょうか、お預かりしますよ」と声をかけています。わずか、2~3秒足らず、一瞬の出来事・・・。「街にある小さくても対処すべき課題」は気づかぬ間に解決されていることがベスです。

ほんと、ちょっとしたことだしお客様に感動を与えるものでもないと思います。でも、中華街はそれが当たり前に行われている。そんな風景をつくりあげたいなと思っています。

「公」を考えてみる_a0259130_18421247.jpg
写真は2018年8月、高校生を馬祖廟にお迎えしご案内しているところです。

by AKIO_TAKE | 2018-10-04 22:44 | look/gaze