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day after day & 武松昭男のphoto日記

当たり前はいつまで続くのか

昨年11月、ある研修旅行で大型バスに乗っているときのこと。
「ドライバーの休憩時間が法律で決められており、次のサービスエリアで20分の休憩をさせていだきます」のアナウンス。休日で高速道路も渋滞する中、かつてトラック乗務を経験した者としては心の中で「どうぞどうぞ」とつぶやきましたが同時に「今はそんなことまで言うんだー」とドライバーの労務改善について、利用者にハッキリと伝えるようになっている、と思いながらアナウンスに耳を傾けていました。

規制緩和の効能として競争原理が働き、益を享受する者もいれば反対に苦境に立たされる者あり。事業活動はつねに栄枯盛衰を伴う、厳しい世界。
競争に打ち勝つために良かれと打った策が、なんのことはない、自身を苦境に立たせてしまうこともある。この本は、物流の、とくにトラック業界が規制緩和後の「早く・安く」に応えようとした非効率的な配送が、過剰なサービスではないかと疑い始めたが、時すでに遅し、トラック業界の生産性は下がり、そのことが他の産業の生産効率を高めるという皮肉な現象を生み出していると指摘しています。それぞれの業界、業種にとって「適正な市場」とは似て非なるものがあるものの、長時間労働や今もなお要請されるサービス欲求に対応しながら働いている皆さんがいるからこそ、いまの便利な生活が成り立っていることを消費者の一人として深く考えさせられました。

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by AKIO_TAKE | 2019-01-02 12:46 | book