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人と一緒にいること

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東京都豊島区の豊島岡女子学園において、2017年5月から月1回ペースで5回行われた講義を書籍化したもの。この講義は人間の基本的条件である「人と一緒にいること」を念頭に「政治って何だろう?」を考えてみようというものです。自分が自分らしくありつつ、人と共に生きるということはどういうことか。そしてそれは「政治」といかに結びついているかを考えています。中高生に向けた講義ですが大人にも、「人と一緒にいること」の素晴らしさとつらさを、改めて考えさせてくれる書籍だと思います。

各講義は以下の通り、そして目次となっています。
第1講「変わりゆく世界と<私>」
第2講「働くこと、生きること」
第3講「人と一緒にいることの意味」
第4講「選挙について考えてみよう」
第5講「民主主義を使いこなすには」

ちょうど今、日本では7月21日(日)が投票日の参議院議員選挙戦行われていますが、この書籍では政治を次のように定義しています。「自由かつ平等な個人同士が、言葉を交わし、ともに秩序をつくっていくためには、どうしたらよいのか。それを考えるのが政治」。

社会にはいろいろな考え方をする人がいるわけで、どんなに議論してもなかなか一致しないことの方が当たり前というか、そうなるのが一般的。第4講では、政治における決め方や多数決って本当に正しいのか、現行の選挙制度の未熟性と可能性等について考察しています。多数決で機能するのは一定の条件下のみで、その条件が当てはまらない場合は他のルールを考える余地があるのではと提案しています。

民主主義の多くの制度は、わずかこの200年余りの間に採用されたもので、完全無欠なものでない。人は、なんとなく今あるルールを改めることは苦手なようで、今あるものが当たり前と考えてしまうのではないか・・・もっと、違う決め方があるだろうし、なにより、IT技術の進化で技術的な弊害は減っていから、決め事の幅は広がっている。もっと想像力を駆使すれば、中高生のみなさんが大人になった時に機能する制度に作り替えることができるはず。

人々の民意を測ることは容易ではない。投票して集計されたものが果たして民意と言えるのか。何の議論もせず、投票だけするのは民意の測り方としてはだいぶ乱暴ではないか、と選挙制度・民意・投票とは何なのか、ちゃんと説明できるのかを私に問うてきていると感じながら第4講を読みました。
そして「議論」の場を作りだしていくのは「あなた」であって、他者にあらずを忘れないように、と。

中高生への講義ですが、大人にも思考の更新を促す書籍だ、と思いながら本を閉じました。



by AKIO_TAKE | 2019-07-15 07:34 | book