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day after day & 武松昭男のphoto日記

乾く街

環境セミナーの中で大気汚染について話をするとき、数値的な資料として都庁舎から約95㎞先の富士山が見える日の統計(東京都環境局作成)を、視覚的な資料としては自身で三渓園や外人墓地から富士山を写した写真やフリー写真等を用いています。私の活動範囲の多くは横浜なので、これからは横浜市発行の「冊子:横浜IRの基本的な考え方」の表紙を使わせて頂こうかなと思います。

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かつての日本も高度成長期の急速な工業化によって大気の汚染を悪化させ、深刻な公害問題を経験しました。いま、地球の国々では新型コロナウィルスの感染に苦慮していますが、4月にNASAが観測したデータは、アメリカのニューヨークなどのアメリカ北東部の大気状態は2005年以来、もっともきれいだったと報告しています。また、フランスのパリでは大気汚染レベルが46%軽減されたという調査もでました。経済や人の移動が制限されたことで、一時的とはいえ、いかに人類の活動が大気に影響を与えているかが、あからさまにわかるデータです。一昨日のブログでも取り上げた「新しい生活様式」の先に、大気汚染の軽減をイメージしながら、これからの生活を送りたいものです。

さて、東京都環境局では1971年から富士山の見える日を観測しています。1971年から1991年の20年間では年間平均40.7日、1992年から2001年では89.9日、ちょっと飛ばして、2008年から2018年の年間平均では年間96.7日、約95㎞先の富士山が午前9時に確認できたと報告しています。

改善された理由は大きく2つ。ひとつは、大気汚染の指標となる浮遊粒子状物質の濃度が下がったこと。工場からのばい煙や車の排出ガス等、技術革新が進んだ結果ですね。もうひとつは、都市化による乾燥化が進んだこと。もう少していねいに言えば、地球の保湿を担っていた土や樹木を取り除き(森林の伐採)、街をコンクリート化したことにより、街から水分が失われ、霧や靄などがなくなり見通しが良くなった、ということです。技術の革新で汚染濃度が下がったことは喜ばしいことですが、一方で森林伐採による「見える化」は手放しで喜べませんね。

そうして写真を眺めると、地球の至るところが樹木をなぎ倒して出現した街なんだなぁと思います。潤いが失われた街、殺伐するのは致し方ないなぁなんて思いながらも、だから、潤滑油的な機能、場所が求められているのでしょう。自分たちで便利で住みやすい理想的な街をつくったはずなのに。これも無意識に潜む人類の本能か・・



by AKIO_TAKE | 2020-05-06 13:15 | 環境