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day after day & 武松昭男のphoto日記

名残り

先日、「あなたは以前、ごみ収集の仕事をしていたと思いますが、ごみの仕事って面白かったですか?」と突然聞かれ、ちょっとびっくりしたことがありました。ポケーとしていたのか、その場はシドロモドロな回答になってしまいましたが、後々の活用事例として綴っておきます。


名残り_a0259130_08443947.jpg

「こんな風景(写真※)を描いてみてくださーい」とお願いしつつ、こんな感じでお答えしました。

『パッと街を見渡すと建造物はあるし、看板の類もいっぱいあるし、ビルの中にはオフィスもあって飲食店もあるので、とにかく多種多様なごみが見渡せる範囲だけでも膨大な量として出ることが想定されます。今は愛用品でも壊れたり、修理不可になれば、それに繁華街であれば店舗の改装も沢山あって都度ごみは出ます。ごみは処理料金を頂いて適正に処分しなければなりませんから、そのごみがどんな素材で出来ているかを瞬時に見極められるかが一つのポイントになります。飲食店からは毎日生ごみが出るし、オフィス・店舗からもたまにでも粗大ごみは出るので、なんかもう使ってなさそーだなーとか感じちゃうと「買い換えたら~」なんて煽っちゃったり・・そんな不純な気持ちで仕事していたのか、と責められたら、なにも言い返せませんが(苦笑)。

見渡せるモノの素材が、どんな原料を使ってどんなプロセスを経てつくられているのかを熟知しておくことは、ごみ処理事業者として必須だと思ってやっていました。リサイクルとは、カタチあるものをバラシて再び原材料として使うことを言いますよね。色々な素材を組み合わせ、高い製造技術をもってつくられたものがごみになった時、環境を汚染しないようにどのように処分するのか。そうしたことを瞬時にお客さんに応えられることが当時はとても大切だ、と思ってやっていた記憶があります。

生産技術や生活思考は日々更新されていきます。つまり、日常から出るごみも、わずかながらでも変化していきます。複合素材の原料が変わったり、モノ自体が軽くなったり薄くなったり・・そして、生ごみのように、すぐにごみとなるものもあれば、何十年という時間を経てごみになるモノもあります。何十年という時間差のある素材を同時に処分することもあります。だから今でも見渡せるものは勿論のこと、土の中で生活を支えているインフラなど、ありとあらゆるモノに関心が向きやすいのは、また探究しようとするのは、ごみ処理の仕事をしていた名残かもしれません』

最近はコロナ禍もあって、「これから」どーするに気を取られっぱなしだったこともあり、不意の問いかけに焦った(笑) 

※まぽ (S-cait)さんによる写真







by AKIO_TAKE | 2020-06-18 23:37 | work