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見据える

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1970年代以降に建設された原子力発電所(以下 原発)が2030年頃から廃炉のピークを迎えるという。1998年に東海原発が営業運転を停止、2008年に浜岡原発1・2号機の廃炉が決まり、福島第一原発を含め、2020年5月現在で廃炉が決定されているのは24基に上るそうです。原発の解体・廃棄に伴って排出される低レベル放射性廃棄物の総量は、この廃炉予定数からとてつもない量になることや放射能廃棄物として処分する費用もとんでもない金額になりそうだ、と呆然としてしまいそうです。

また本書では、10マイクロシーベルト/年以下の極めて低いレベルの放射能レベルの廃棄物は、普通の産業廃棄物として処理することで処理費の低減を図るスソ切り処分(クリアランス制度)に触れています。実はこの制度は随分前から問題視されており、2006年あたりからすでに実施されています。

2030年は、2015年の国連サミットで採択され、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標(SDGs)のゴールと奇しくも同じ年です。原発の廃炉の問題は日本だけではないので廃炉にかかるコストと安全な処分先の確保は世界共通の課題です。(いくつかの課題があると言われながらも)自然エネルギーの転換も叫ばれ、すでに大きく舵を切っている国もあります。

廃炉コストや処分先確保も大切ですが、廃炉に関わる人材の確保は大丈夫なのか、ということも気になります。このあたりはまた別途調べてみようと思っています。仮に日本国内の原発を全停止しても、その維持とそしていつかは行わなければならない安全な廃炉作業ができる人材を確保しておかなければなりません。廃炉について十分な知見を得るためには、わずかでも原発を運転する必要があるのかどうか。そうしたことも知りたいです。仮に廃炉を先延ばしにしても、その原発は誰かが維持のために面倒を見なければなりませんし、当然タダではありません。生活していくために電気にはお世話になっていますから言い方は申し訳ないと思いますが、発電もせず、低レベル放射性廃棄物を抱えたコンクリートの塊に永遠の資金投入はできず、どこかで処分しなければならないはず。原子力発電所ひとつとっても、これからの10年は悩ましい課題が横たわっています。それゆえに、自分で調べて知り得る努力は欠かさず、子供たちには話しておきたいヒントがある一冊でした。

出版社 :
エムディエヌコーポレーション
発売日 : 2020/10/6
新書 : 216ページ
ISBN-10 : 4295200352
ISBN-13 : 978-4295200352

by AKIO_TAKE | 2021-04-05 23:32 | book