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day after day & 武松昭男のphoto日記

守人

きょう、6月5日は環境の日。

日経電子版(6/5)にドイツの「森林官」が取り上げられていました。森林官とは森林を管理・調査し、経済合理性と持続可能性とのバランスを保つ「森の守人(もりびと)」の役割を担い、ドイツでは医師に次いで人気のある仕事のようです。日本の森林官は国家公務員なので、国家公務員試験に合格して、林野庁や森林管理局に公務員として採用されることが必要・・なので、もう森林官にはなれないな、残念。。。

日本の850人に対し、ドイツには約5,000人の森林官がいる。ドイツの森林面積1070万ヘクタールに対し、日本の森林面積は2500万ヘクタールなので日本の半分以下。
日本は2〜3年で定期異動があり、かつ、日本の森林官は日本の森林面積の3割を占める国有林だけを管理するが、ドイツは20〜30年以上、同じ森林を担当し続けるのが一般的という。ドイツの国有林も日本と同じく3割程度だが、ドイツの森林官は担当区域の私有林や民有林にも助言、支援を行い、さらにドイツの森林法では個人企業問わず、すべての森林所有者に「持続可能で適切な管理業務」を課していて、ドイツの森林官はその履行チェックの責務も負っているのだそうだ。森林に対する手厚さが文章と比較表で紹介されていました。

記事には、経済合理性と持続可能性を両立するドイツでも19世紀の産業革命で森林が乱伐され、成長の早さから商業利用に適した針葉樹ばかりが植えられ、結果、災害や病害への耐性が弱まり、生態系も崩れていった苦しい時期があったことも記されています。このような反省からドイツは土地に合った多様な植林方針に切り替えて、いまでは広葉樹の比率は43%まで回復しているそうです。

そうしたドイツのモデルを100年以上前に取り入れた森林が日本にもあり、それが東京の明治神宮の森なんだそうです。
1915年、スギやヒノキなど針葉樹で覆った造成計画が打ち出されたのですが、林学博士の本多静六氏が反発し、東京の気候に適したクスノキやカシといった広葉樹を中心に、多彩な木々に囲まれて育ったのが明治神宮の森。

人間の手を加えなくても自然に落下した種子から稚樹が芽吹き、やがて豊かな森林となる。ドイツで学んだ「天然更新」を実践し、成功した明治神宮の森ですが、その神宮外苑で大規模な再開発計画がはじまっています。

アメリカの海洋生物学者・作家のレイチェル・カーソンが1962年に出版した「沈黙の春」。当時、アメリカの農業で使われていた、化学物資を大量に使った農薬や殺虫剤などが生態系に与える影響について警鐘を鳴らし、生産性を高めるために自然を支配していった結果、小鳥たちのさえずりが聞こえない「沈黙の春」を迎えることになった、というメッセージを思い出します。

将来世代が暮らす未来のことを考慮しながら、現行世代の私たちの開発の在り方を考え、行動する、という事が「経済合理性と持続可能性を両立する」ということなのではないか。記事では「ドイツのような森の守人がいない日本で持続可能な自然を守り抜くのはたやすくない」と結んでいました。


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by AKIO_TAKE | 2023-06-05 22:59 | 環境