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day after day & 武松昭男のphoto日記

テーマは福祉ではなくコミュニケーション


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人生は選択の繰り返しですが、「選択」できるということ自体、幸せですね。という一文を読んだ直後、胸の内がざわざわと。そのようにカラダが反応するということは、きっと無意識のうちに「障害を抱えていると選択の幅もせまくなる」と思っている証かも。ちょっと落ち込む。

中一の終わりに全盲となった研究者と19歳で耳が聴こえなくなった研究者のこれまでの生活ぶりと、ふたりの対談。健常者にとって、ろう者、盲者は異文化。しかし、ろう者と盲者は、さらにその上を行く究極の異文化であることが理解できる一冊。

この究極の異文化だからこそ生まれるコミュニケーションの対談はとても興味深い話でした。音に頼れないから見ることで生活する人、見ることができないから音や触感で生活する人・・やることなすこと全く反対。この本に出会わなかったら、そんな感覚を持つことはきっと無かったと思います。

岩波ジュニア新書の発行ということは若い世代に向けて執筆された新書。多感な年頃に視力や聴覚を失った悲しみ、そして失ったからこそできるようになることがある(口で言うのは簡単だけど)。それを伝えたいのだと思います。健常者とは異なる五感の使い方をして、社会の情報を得ている二人の対談、おすすめです。

SDGsのことにも3行ほど触れています。「誰一人取り残さない社会」がSDGsの標語ですが、「取り残さない」と言われるとものすごく違和感があるそうです。ICTが様々な分野で進展するのはいいのだが、その多くの技術が効率重視で「見る/見せる」ことを前提にしていることが気がかり。盲者は取り残される側にいて、マイノリティとして情報を発信し続けるしかない。

そんなことから、「誰が誰を取り残すのでしょう」という言葉を残しています。この言葉、「誰」のところに色々と当てはめて考えちゃいました。争いごとが無くならない世界、政治状況が不安定な昨今なので「政治家が国民を取り残す」とか。不謹慎ながら現状改善に希望を込めて。

出版社 ‏ : ‎ 岩波書店
発売日 ‏ : ‎ 2023/9/20
新書 ‏ : ‎ 206ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4005009751
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4005009756

by AKIO_TAKE | 2024-04-23 18:04 | book