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day after day & 武松昭男のphoto日記

風化しないように


映画「チェルノブイリ1986」 
2020年製作/135分/ロシア 公開日 2022年5月6日

2025年2月、チェルノブイリ原発に対してドローン攻撃があり、火災が発生した事案がありました。ロシアは否定していますが、ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアによる攻撃と主張。幸いなことにシェルター内部に損傷はなく放射能レベルも安定しているとIAEAは発表しましたが、一歩間違えればヨーロッパはおろか、全世界を混乱に陥れかねない事件です。一日も早い、争いの終結を願わずにはいられません。

映画は、1986年4月に発生したチェルノブイリ原発事故の処理作業に従事した消防士の視点から描かれた災害映画。チェルノブイリ原発事故に関する作品もいくつか制作されていますが、この作品はすこし恋愛を絡めた創作なので、他の作品ほどリアルではないというレビューが多いです。目を背けるほどの描写ではないにしろ、それでも放射能汚染による人体の皮膚がただれる様子は息をのみます。

わが国での原子力発電所の事故として、2011年の東北地方の地震とそれに伴う津波によって引き起こされた福島第一原発の水蒸気爆発が記憶に新しいところです。この事故によって炉心と原子炉建屋が破壊されるとともに燃料周囲に置かれた黒鉛の火災も発生。数日にわたり、繰り返しテレビから届けられる消防隊の消火活動の映像が思い出されます。

先月29日、廃炉の技術的な計画を立てる国の専門機関「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が、福島第一原発事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の本格的な取り出しについて、作業の安全確保のため福島第一原発3号機付近では放射線量の高い設備の解体が必要となり、その期間は12~15年を要すると発表。当初見込んでいたデブリの取り出しは2030年代初頭から2037年以降になると明らかにしました。推計約880トンとされるデブリの安全な保管と取り出し準備にかかる費用は相当な金額になることが想定されます。同時に、このブログで備忘録として投稿している【避けて通れない「核のごみ」】問題も残されており、困難ではあるものの、この問題も国民による解決に向けての議論は待ったなしです。こうした残された課題から目をそらさぬよう、風化させないよう、災害映画が果たす役割は大きいと思います。


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by AKIO_TAKE | 2025-08-02 23:10 | movie