報道の力

映画　「燃え上がる女性記者たち」　2021年製作／93分／インド／原題:Writing with Fire

公式サイト　https://www.writingwithfire.jp/

2002年、インド北部ウッタル・プラデーシュ州で、教育を受けることもままらないダリトの女性たちが立ち上げたニュースメディア「カバル・ラハリヤ」の奮闘を描いたドキュメンタリー。映画は紙媒体からデジタル化へ移行する2016年から密着。スマホ片手に取材を試みる姿や家庭、結婚生活との両立に悩みながらも、権力の座にある人々に鋭い質問を投げかけ、もろい民主主義の柱を支えようとする。

「権利を求める人々の声をメディアは行政まで届けることができるから、それを人々の役に立てるべき。責任をもって正しく力を行使すること。それができないのであればメディアも単なるお金儲けになってしまう」。インドと日本、国の事情が異なるとはいえ、耳の痛い言葉です。

また州議会選挙の取材と報道のコメント、「教育　医療　雇用が足りていない状況がある。若者が語るべきはそういう問題。ところが現実はどうか。政府は、恣意や腐敗の隠れ蓑として牛の保護という政策を謳い、政府の責任が問われないように人々を対立させ、矛先を転じている」と、数が月前の我が国の選挙で聞き覚えのあるもの。

エンドロールでインドでは2014年以降、40人の記者が殺されていることを伝えています。命の危険すらある暴力的な状況のなか、怯まず粘り強く小さな声を取材していく姿に「あなたの国はどうですか？」と問われた気がします。

※「カバル・ラハリヤ」→ニュースの波、という意味。