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day after day & 武松昭男のphoto日記

装飾品が剥がれ落ちる瞬間


映画 「レッド・ファミリー」
2013年製作 / 100分 / 韓国
予告動画 https://www.youtube.com/watch?v=-XlOOX4uW30

礼儀正しく、絵に描いたような幸せそうな家族が、実は冷徹な北朝鮮工作員。隣家は喧嘩の堪えない韓国の家族。見どころは、隣り合う2組の家族のコントラスト。前半はコメディタッチで進むが後半はスパイとしてのミッションに苦しむ姿が描かれ、かなりズシッと心にのしかかってきます。

もっとも印象に残ったのは「北でも南でも、人間は健康が第一だ。思想・国境・思想、これらはいずれも装飾品にすぎん」という言葉。北の家族は、自分たちの命よりも「祖国」や「偉大なる指導者」という装飾品を美しく保つことを強要されてきました。しかし、隣人家族の無様な、けれど生のエネルギーに満ちた喧嘩を目の当たりにする中で、その装飾品がいかに空虚で、自分たちの「肉体」や「命」を削り取っているかに気づかされていく。

この言葉は作品の中だけのものではなく、私たちの日常にもたくさんあるように思えました。現代の私たちが必死に守ろうとする「見栄」や「いいね」も、ある種の装飾品かもしれません。

この映画が描き出したのは、南北問題の悲劇ではなく、私たちが何層にも着込んでいる「思想」や「立場」という厚いコートを剥ぎ取った時、最後に残る「生身の人間」の脆さと尊さではないか。装飾品を磨くことに必死になり、自分自身の「心の健全さ」を損なっていないか。現代を生きる私たちにそう問いかけているかのようです。


装飾品が剥がれ落ちる瞬間_a0259130_21155691.jpg

by AKIO_TAKE | 2026-01-05 21:17 | movie