2018年 05月 15日 ( 1 )

鋭く問われる

ヨーロッパの地方再生の取り組みを取材した書籍で、たくさんの事例はあるものの、そっくりそのまま横浜に当てはめることはできないが考え方や取り組むプロセスについて、参考となった新書。

帯に書かれている「成熟」の答えは、本を開いて早々の「はじめに」を締めくくっている、政府が主導する「上からの地方創生」ではなく、住民自らが取り組む「下からの地域再生」へ。という一文ではないかと思って読了しました。全編を通して「公共事業に依存しない」「開発に頼らず自然や景観を保護する」「地域の生き残り策は自分たちで考えるべき」「主役は現場」というニュアンスが目につき、行政と一定の距離を置くことが地域の再生を可能にしているという紹介の仕方をしています。もちろん、行政や政府と断絶する、相対する、ということではなく、辛いかもしれないけれど自分たちで考えて行動することが大前提で、そのあとに行政の支援を取り付けたり、共同で事業運営することが重要と説いています(街の場所、大小で印象は異なりますけれど)。

基本的にはそりゃそうだよねと思いますが、横浜のような都心部にいると、まず行政の支援を取り付けるというところから話がスタートするケースが多いのではと思います。助成金、補助金ありきの地域活性化がスタンダード・・・横浜と地方では規模感が違うよ、と言われることもあります。人口数や住民にすべきことの課題解決数も多いのかもしれませんが、なにかしてくれなきゃ動かない、まず誰かにやらせて良い事例は巧妙にいただく、という乾燥した地域活性化にウンザリ感を漂わせる市民も少なくはないのではと、この本を読みつつ、そんな思いが頭の中を巡ります。

特に横浜都心部の沿岸地域は観光地としても期待されており、日本国内でも有数な消費地です。そうした特徴があり、内需を担うといえばカッコイイですが、消費するだけの一過性で陳腐な観光地にしてしまっては、そこに住み、働く人は目も当てられません。消費中心の観光地であれど、街の魅力を理解して大切にしてくれる人が訪れる地域にすることはできないものか、と考えさせられる一冊です。どのような価値観を持っているのか、横浜の都心部はそんなことを鋭く問われている気がします。

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by AKIO_TAKE | 2018-05-15 02:26 | book