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2019年 11月 07日 ( 1 )

空の色

一昨日でしたでしょうか、BBCがインドの首都ニューデリーの大気汚染を「耐えられないレベル」と報じていました。
大気中の微小粒子状物質PM2.5の濃度が上昇し、呼吸器疾患を引き起こす恐れのある「有害」レベルに達しているという。

PM2.5は一時期中国の北京でも著しい公害として話題となっていました。白い煙幕に包まれた街の中をマスクをした人々がうつ向いて歩く様子は、公害の深刻さを如実に表すものでした。

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写真は、1960年代に日本でおきた四日市公害を語り伝えるため、2016年7月に発刊された本です。かつて日本も、産業経済で発展してきた国々同様に公害に苦しんだ時期がありました。インドはまさに、かつて日本が経験した公害克服の真っただ中なのかしれません。

インドの報道をうけてこの本を思い出した理由は、消費税が8%に引き上げられたときの自動車重量税についての議論がよみがえったので。自動車重量税は大気汚染による公害患者の補償に充てるという特定の目的での使用のために設けられた税です(本文でも明記されています)。しかし、2014年に消費税を8%に引き上げるのを機に、公害はすでになくなったとして自動車重量税の廃止がニュースや新聞で話題になったことがあり、それを思い出しました。

先ほど「空の青さはひとつだけ」は四日市公害を語り伝えるために2016年に発刊された、と紹介しました。四日市公害の兆候が見え始めたのは1960年初頭の頃。1965年に四日市市が独自に「公害認定制度」を設け、4つの疾患について「公害患者」として認定して医療費を無料に。1967年の公害訴訟は1972年に判決があり、原告勝訴をうけて「四日市公害訴訟を支持する会」は発展的に解消。

判決から40年が経過し、空も青くなったからもう公害はなくなった。そうした意味合いを持たせたいのかどうかはわかりませんが、消費税が8%に引き上げられたときに、公害患者を救うために使用される目的税も、もう不要でしょうと。

たしかに空は青くなったけれど、環境の改善は空の青さだけで語られるものではなく、現にぜんそくで苦しんでる方はまだいらっしゃいます。
たしかに「公害」という言葉は日本では(産業界の努力の甲斐もあり)聞かれなくなり、「環境」とか「エコ」とかの耳触りの良い言葉に置き換わってきました。

ただ、インドで起きている事態を耳触りの良い言葉で捉えてしまうと、公害被害者の本来の姿が見えなくなってしまう危険性があります。公害という悲観的な言葉を使う必要はないけれど、かつての日本の痕跡をみつめること。そうした意識をしっかり持つことが今に生きる人々には問われているように思います。


by AKIO_TAKE | 2019-11-07 14:57 | book